あつぎ映画祭【アーティストの人生】『氷の花火 山口小夜子』松本貴子監督舞台挨拶 レポート

2/25(土)より開催中の第6回あつぎ映画祭にて、【アーティストの人生】と題して、厚木出身のドキュメンタリー作家・松本貴子監督作品を上映しております。

1979年代初頭からファッションモデルとして世界的に活躍し、”東洋の神秘”と称賛された伝説のモデル、山口小夜子のドキュメンタリー『氷の花火 山口小夜子』の上映に合わせ、3/18(土)には松本監督による舞台挨拶を行いました。その模様をご紹介します。


ドキュメンタリー映画が時を経てこうして上映されるということはほとんどありませんので、とてもうれしいです。

小中高とずっと厚木で生活してきました。その後東京へ出てしまったんですが、父親の介護とかもありまして頻繁に帰ってくることが増えました。こうやって厚木とまた縁を結んで上映をしていただけて、本当にありがとうございます。

この映画は2015年10月から東京のシアター・イメージフォーラムで上映が開始されて、幸せなことに今もこうやって掛けていただけるのはありがたいと思っています。

この映画はどうしても作りたくて、わがままを言いまくって作りました。山口小夜子さんは57歳で亡くなりましたけど、もっと評価されても良かったし、もっときちんと記録として残しておくべきなんじゃないかと、亡くなってすぐにテレビ番組を作りたいということで動いたんですが、ほとんど「何で?」という感じになりまして。いつか作りたいなあと思っていた時に、東京都現代美術館で山口小夜子展(2015年4月)を開くということをいち早く聞きまして、そこから是が非でも作りたいということで、生々しい話ですが、お金集めからいろんなことで暴れながら作りました。

小夜子さんが亡くなってしまっているので、小夜子さんと話をしたり聞くことができなかったので、撮影中毎日お月さまと話をしてこの映画を作りました。本当に短期間の撮影と編集だったんですけど、月って結構良くて、太陽のように同じ軌道を毎日行くわけではなく、ふと見上げるとどこにあるかわからないんです。「あ、いた」っていう感じで。毎日のように夜になると月を見つけては、「今こんなことになってんだよね」みたいなことを話しながらこの映画を作っていきました。
本当にすごい昔の記憶になっていて、その頃ものすごい大変で、もう二度とこんなことしたくないと思ってたんですけど。今は作っておいてよかったなという思いです。
賞をいろいろいただけたというのもあるんですけど、テレビだと再放送してもらうのも私達が決めれるわけでもないので、長きに渡って皆さんに見ていただいたことで、映画っていうのは嬉しいなと思います。


(C)KAZOU OHISHI
(C)2015「氷の花火 山口小夜子」製作委員会


クラウドファンディングで製作費を集める中、松本監督の大学の先輩という落語家、春風亭昇太が製作費の一部を出資することに。監督いわく「とてもいい人」で、その後も映画の宣伝に力を貸してくれたという。

有名なスティーリー・ダンの「aja(エイジャ)」のレコード・ジャケットのモデルとして起用されるなど多岐に渡る活動をされていた山口小夜子さん。映画での素材仕様にあたり、その著作権をクリアするのは大変な作業だったという。カメラマン藤井秀樹さんによる「aja」ジャケット。現在その著作権管理をされている方は、なんと厚木在住で、当日も会場にお越しくださった。

松本監督は『≒草間彌生 わたし大好き』も発表されて、”おかっぱ髪のふたりの異才”と題して、特集上映も行われた。(当館でも3/17まで『≒草間彌生 わたし大好き』を上映)。
そんな松本監督から見たお2人の魅力とは・・

草間さんは1960年代、小夜子さんは70年代に日本を飛び出して活躍した人なんですけど。変わった人たちですよね(笑)。とても魅力的です。それがたまたまおかっぱで一人は髪の色がピンク、一人は黒だったので、ふたりのおかっぱ特集ってことなんですけど。日本の中で留まらずに世界で勝負をかけたところに私は魅力を感じています。それが全部逆輸入だったということにもすごく興味がありますね。草間さんのことを最初にいいと言ったのはニューヨークのアメリカの人たちでしたし、その後草間さんが日本に帰ってきてすごいバッシングを受けてなかなか浮上できなかった時、光を当てたのはアメリカのMOMAという美術館が彼女を再評価すると展覧会を企画したところから始まって、今に至るうなぎ昇りが始まっています。小夜子さんも当時は日本で受け入れられない顔と髪の毛だったんですけど、フランスのパリで勝負を賭けたところ、オリエンタルで素晴らしいということで、そこで「よし、マル!」みたいなハンコをもらって日本に帰ってきたらものすごく素晴らしいモデルになったと。今もそれが続いていて、それを体感した彼女たちに私も取り憑かれたのかなと思います。

上映はあと一週間続きますので、ぜひ周りの皆さまにこんな映画を見たよと伝えていただいて、一人でも多くの人に小夜子さんのことを知っていただけたらありがたいなと思います。
今日は本当にありがとうございました。


『氷の花火 山口小夜子』 3/24(金)まで上映。
作品詳細は こちら

『≒草間彌生 わたし大好き』 当館での上映に続き、4月以降、東京・横浜での再上映が決定しました!
詳細は こちら