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あつぎ映画祭【アーティストの人生】『≒草間彌生 わたし大好き』松本貴子監督舞台挨拶 レポート

2/25(土)より開催中の第6回あつぎ映画祭にて、【アーティストの人生】と題して、厚木出身のドキュメンタリー作家・松本貴子監督作品を上映しております。

現在、東京・新国立美術館にて展覧会「草間彌生 わが永遠の魂」を開催中の前衛芸術家・草間彌生の素顔に迫ったドキュメンタリー『≒草間彌生 わたし大好き』の上映に合わせ、3/12(日)には松本監督による舞台挨拶を行いました。その模様をご紹介します。

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ドキュメンタリー映画が時を経てこうして上映されるということはほとんどありませんので、とてもうれしいです。

元々「≒(ニアイコール)シリーズ」(2001年〜2008年/写真家・森山大道、現代美術家・会田誠、日本画絵師・天明屋尚、現代彫刻家・舟越桂といったアーティストを題材にしたドキュメンタリー)というのがありまして、5本目は記念的に草間彌生をやりたいとプロデューサーが思われていたそうです。でも、草間さんの方からずっと断られ続けてきて、私に白羽の矢が立ちました。

私はこの映画を撮らなかったら、まったく人生が変わっていたというか。本当に大きなターニングポイントだったと思います。
最初に草間さんと1995年に出会ってケーブルテレビでの番組を作りましたけど、ここまでどっぷり行かなかったと思っているんですね。
この映画の後NHKの番組を作っている時も「草間彌生担当」みたいな肩書になりまして、フリーでやってますんで、ある意味看板として「草間彌生を撮る松本」みたいな感じになったので、ありがたいことだと思ってます。

私たちは「地雷」と呼んでるんですが、地雷を踏みまして何度もスタジオに出入り禁止になりました。
どういうところに地雷があるかといいますと、例えば「桜を見に行きませんか?」とお誘いしたんですね。何度か断られたんですが、行くというので、一緒に行くことになって。行った時は「綺麗だね」とか言ってたんですけど、帰ってきて、お別れした後にスタッフから連絡が入って、「もう二度と来るなと言っている」と。どういうことなのかわからなかったんですが、「松本に誘われて桜を見に行っている間に、絵を描く時間を奪われた。だから松本にはもう来て欲しくない」と言われまして。私にしてみると地雷が破裂した、この映画も終わりかな…と。
まだその時は始まったばかりだったんですけど。そんなことを繰り返しながらこの映画を作りました。
結果2年かかったんですが、出来上がってよかったなあと。

60分テープを109本回しまして、編集作業を1ヶ月くらい籠もってやりました。テレビだとご本人に見せずにそのまま放送するんですけど、映画ということと、草間さんにここまで密着したことがなかったので、草間さんだけに見せる一人の上映会というのをやったんです。心臓はバクバクするし、これで駄目だと言われたら今までの2年間は全部駄目になるしと思って。プロデューサー達には、映画が終わったら全員で拍手してとか、いろんな計画を立てまして、映画を上映し始めました。
5分くらいしたところで椅子からガタって立ち上がって、後ろを振り向きながら「松本さん」っていきなりお声がけされまして。私は一番後ろに隠れるように見ていたんですけど、頭が真っ白になりまして「はい」って答えたら、「作ってくれてありがとう」って突然言われまして。
その後私はヘナヘナと座って、映画が終わるのを待って、一番最後にエンドクレジットも終わったところで、草間さんはもう一度スタッフの皆さんに「本当にありがとうございました。自分が想像していた以上に素晴らしかった」とおっしゃって下さいまして。そして「涙を流して見ました」とも言って下さいました。

この映画はいろんな方が見てくださいまして、たまたま見たNHKのプロデューサーが「変な生き物がいる。この生き物をまた番組でやりたい」ということになりまして、次の年からまた製作に3年かかりましたけど、草間彌生だけで3時間の番組(NHK-BSプレミアム「世界が私を待っている 前衛芸術家草間彌生の疾走」/2011年)、その後NHKスペシャルで、これも1年がかりでしたが、ルイ・ヴィトンのバッグとのコラボレーションの番組を作りました(「NHKスペシャル 水玉の女王 草間彌生の全力疾走」/2012年)。
3時間番組の時は「草間彌生の疾走」というタイトルで番組を作ったんですね。NHKスペシャルは「最後の全力疾走」という仮タイトルをつけてたんですけど、たまたまそれが草間さんの耳に入り、電話がかかってきまして、「誰が最後だと言っているんだ。タイトルを変えろ」と言われまして(笑)。

そうして草間さんの番組を3本作ったので、もう終わりかなと思っていたら、草間さんに富士山を描いてもらうという企画がありました。今、国立新美術館で草間さんの展覧会を大々的にやっていますが、その入ってすぐの部屋に、番組で描いた富士山が飾られています。これも半年で番組を作り上げる予定が、にっちもさっちもいかなくなりまして、本当に草間さんからは何度も怒られまして、「お前、私にあれやれこれやれと言い過ぎる!」と言われて。1年かかって2015年の正月に「草間彌生の富士山」というタイトルで放送しました。もしよかったら、ズタボロになりながら作った番組の富士山を見ていただければと思います。ほかの抽象的な草間さんの作品に比べて、本当にわかりやすく、日本人なら誰でも心に持ってる富士山、というのを描いています。

(C)2008 B.B.B.Inc (C)YAYOI KUSAMA

(C)2008 B.B.B.Inc (C)YAYOI KUSAMA


当日は草間彌生さんの象徴ともいえる「水玉」模様の装いでご登壇いただいた松本監督でした。

私もある時は水玉を着ていたんですが、あまりにも草間さんとのバトルが激しくなって以来、水玉を見たり身につけるのが怖くなってしまったんですが(笑)。今回久しぶりに引っ張り出して着てみました。

本作に続き、3/18(土)からは”東洋の神秘”と称された伝説のモデルの人生に迫った『氷の花火 山口小夜子』が上映されます。

これは山口小夜子さんが亡くなってしまった後に作った映画ですので、『草間彌生』とはまた違ったイメージで作っています。見ていらっしゃらない方がいましたら、見ていただければ幸いです。今日はどうもありがとうございました。


松本貴子監督『≒草間彌生 わたし大好き』は3/17(金)まで。
作品詳細は こちら

『氷の花火 山口小夜子』は3/18(土)〜3/24(金)上映。3/18(土)は上映後、松本監督による舞台挨拶も開催いたします!
作品詳細は こちら

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