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塚本晋也監督『野火』舞台挨拶レポート

11/26(月)、世界的名監督の塚本晋也監督に、舞台挨拶のためお越しいただきました。平日にも関わらず満席で、補助席も出す盛況ぶりで、塚本作品のファン、そして野火という作品への期待の高さが伺えました。その上映後の舞台挨拶のレポートをお届けします。

『野火』上映後の舞台挨拶

上映後、盛大な拍手で迎えられ、塚本監督に野火の制作動機や作品の意図についてなど、たくさんのお話をしていただきました。

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野火は大岡昇平さんの小説が原作。この原作小説を監督が読んだのは高校生の時だったそうです。当時から8ミリカメラで映画を作っていた塚本監督は、頭のどこかでこの映画を作ってみたいなと思っていたとのこと。30代ごろから本格的に本作を作ろうと奔走していたそうですが、予算の問題でなかなか企画が通らなかったそうです。しかし、そうして時が経つにつれ次第に「お金以外の問題」が浮上してきたと言います。それはこうした苛烈な戦争体験を伝える作品を作ること自体は不謹慎だという風潮が出てきてしまったこと。そういう嫌な空気が世の中が浸りきって仕舞う前に作らなければいけない、そうした過渡期のような時代だからこそ、この作品を投げかけるべきという思いで制作されたそうです。

また会場からの質問で、本作は非常にリアリティを感じさせる作りになっていますが、監督自身は戦争体験世代ではないがどのようにリアルな描写に取り組んだのかとの質問に、原作を読んだ時にイメージはすでに浮かんだが戦争を体験していない自分が、イメージだけで作るのは不謹慎と思ったので、多くの戦争体験者にインタビューして、それを感覚に染み込ませたそうです。
また死体の山はどのように作ったのかという質問については、死体を全て人間が演じてはうそ臭くなるし、全て造形でもそれは造形物のように見えてしまうだろうから、造形物の中に上手く人間を配置してリアリティを出すよう工夫をしたそうです。

また本作は市川崑監督も1959年に映画化していますが、市川版との違いについて、市川監督は全て日本で撮影をして、人間のあり方について描いているが、原作を読んだ時にフィリピンの美しい自然と、人間だけがなぜこんなにも卑小で愚かしいことをしているという強烈なコントラストが印象に残ったので、それをきちんと描きたかったと語ります。

また戦争の恐ろしさは自分が加害者になってしまうこと、加害者になることの恐ろしさを描かなくてはと考えたとのこと。そして被害体験を語る方は多くいらっしゃるが、加害体験はなかなか語りにくい。しかし、それがないことになってしまうのは恐ろしいことなので。

塚本監督はとても気さくでカッコいい方でした。たくさん写真を撮っていただき、ツイートしてくれました。塚本監督、ありがとうございます!

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